カニハゼ君が尾ぐされ病で治療中です

カニハゼのやすけんが尾ぐされ病を発症してしまい、
隔離治療を行っていました。

カニハゼ 尾ぐされ(ヒレぐされ)病

 

尾ぐされ病は淡水水槽では良く起こる病気らしく、
カラムナリス菌という細菌が外傷やスレ傷から侵入する事によって
ヒレがボロボロに裂けて溶けていってしまう病気の様です。

 

それに対して海水魚の尾ぐされ病は、
滑走性細菌(グラム陰性菌)[Flexibacter maritimus]という物が原因で起こる様で、
スレ傷や水質の悪化等が原因で発症し体内に侵入してしまうんだとか。

 

症状を起こす部位によって、
ヒレぐされ病や口ぐされ病などと呼ばれるようですが、
根本的な原因は細菌が体表へ侵入することが原因となるようです。

 

似たような症状を起こす細菌は1種類ではない様ですが、
今回は記事を書く上での便宜上、尾ぐされ病として認識しておきます。

 

私も調べてみましたが詳しく理解出来ているとは言い難いので、
この病気が気になる方はしっかり調べておく事をお勧め致します。

 

・・・それでは過去にさかのぼり、
順を追って経緯をお話ししていきます。

 

※注)今回の記事は魚の病気治療に関する重たい内容です。
   治療中の痛ましい写真等も載せていますのでそういった内容は見たくない、
   とお考えの方はここで記事を閉じて頂ければ幸いです m(__)m

 

 

今回の尾ぐされ病発症の原因ですが、
事の発端はこの事件だったと思われます。

 

→ ヤドカリが暴君と化しました

 

12月の上旬にヤドカリが暴君と化した際、
カニハゼのやすけんが寝込みを襲われたようで、
背びれをボロボロにされてしまいました。

背びれが破けてしまったカニハゼ

 

原因となったヤドカリはすぐ隔離しましたが、
おそらくこの時に体内に侵入されてしまったのだと思います。

 

痛んだ背びれは再生しつつあったのですが、
いつもと比べると傷の治りが遅かったんですよね。

 

カニハゼはヒレを使い砂を掘って巣穴作りをするので、
砂や岩にぶつかってヒレが破けたりする事は割とあるんですけど、
数日から1週間程で何事もなかったかのように再生していました。

 

ところがこの傷は2週間たっても完全には再生しませんでした。

 

この時は寿命が近くなっていて再生能力が落ちているのかもしれない、
と考えていたんですよ。

 

・・・と言いますのも、
カニハゼの寿命は平均1~2年と言われているそうです。
(本当の所は分かりませんが)

 

この子は家に来てから半年以上経過しています。

 

餌付いてからは毎日餌をモリモリ食べていましたけど、
一向に成長しなかった様子を見ると、
家に来た時には既に成魚になっていたと考えるのが妥当ですよね。

 

そんな理由から寿命が近づいているので再生能力が落ちているのかも、と。
ですがこの時既に、細菌と戦っていたんだと思われます。

 

その後、白点病治療を終えたカクレクマノミを戻し、
殺菌灯を導入しましたが、
これらの環境変化もストレスになったのかもしれません。

 

もうすぐヒレが完治するな~、と年末に思っていたのですが、
年明けになって治りそうだったヒレの先端から裂けてボロボロになってきました。
そしてその症状が別のヒレにも飛び火し始めました ><

 

ここで尾ぐされ病と判明した次第です。

 

尾ぐされ病の原因となる細菌は感染力が非常に強く、
同じ水槽内の他の生体にもどんどん飛び火する可能性があるそうで、
発症した個体は早期の隔離治療が基本なようです。

 

ちなみに今日に至るまで、
同居していたカクレクマノミ達には
尾ぐされ病の症状は全く出ていません。

 

滑走性細菌に侵されてしまった生体がいる状態で、
2週間以上も小さな水槽で同居していたにも関わらず、
他の生体に全く飛び火しなかった事に対しては、
殺菌灯の貢献もあったのかもしれません。

 

しかし体表内に潜入してしまった細菌に対しては殺菌灯は無力ですね。。

 

後1カ月殺菌灯の導入が早かったら結果は違っていたかも、
と考えると悔やまれます。 つくづく予防用だなと。。

 

1月の初めに隔離して薬浴治療をスタートさせました。

 

カニハゼの尾ぐされ病 闘病記

 

カニハゼに薬浴を施して良い治療結果を得られたという事例を、
私は聞いたことがありません。

ですがこのまま放置したらほぼ確実に死に至ります。

覚悟を決めて、
グリーンFゴールド顆粒を規定量の半分使った薬浴をスタートしました。

グリーンFゴールド顆粒で薬浴中のカニハゼ

 

グリーンFゴールド顆粒を使った薬浴自体には耐えてくれました。

 

・・・しかし一旦進み始めた尾ぐされ病の進行は非常に早かったです。

みるみる内にヒレの先端からボロボロになって溶けていき、
カニハゼのトレードマーク、背びれの目が無くなってしまいました。

 

1週間薬浴を続けましたが、症状に改善はみられませんでした。
手遅れだったかもしれません。

 

このまま薬浴を続けても意味がなさそうと判断し、
別の方法を試す事にしました。

 

フグの尾ぐされ病治療に使われているという、
グリーンFゴールド顆粒をアクアセイフで溶いたものを、
患部に直接塗る方法を試してみる事に。

グリーンFゴールド顆粒をテトラアクアセイフで溶いたもの

 

この治療を2日連続で行ってみましたが、
カニハゼに対しては薬が強すぎたのかもしれません。

 

今まで無事だった胸鰭の先の方に、
白い綿の様なツブツブが出てきてしまったので、
この方法は2回で中止しました。

 

患部に直接塗る方法は海水から上げて処置する必要がありますし、
治療中に暴れて別のスレ傷が付いてしまう可能性もあるので中々難しいですね。

 

そこから1週間は、グリーンFゴールド顆粒の薬浴で様子をみました。

規定量の半分で続けても効果がなさそうだったので、
少しずつ濃度を上げていって規定量の0.8倍ぐらいにしました。

 

薬浴開始から2週間が過ぎた頃、
ヒレの先に付いた白い綿の様な物は無くなりましたが、
症状の進行は止まりませんでした。

 

藁にもすがる思いで、イソジン浴を試してみる事に。

 

水1Lに対してイソジンを2~3滴たらして攪拌し、
5分間薬浴させるという治療法です。

 

淡水の尾ぐされ病治療に使われている方法だそうですが、
海水魚の尾ぐされ病にも効果があるかどうかは定かではありません。

 

水換えのタイミングで薬浴の海水を1L取り、
イソジンを3滴たらして5分間薬浴しました。

すると症状の進行が遅くなった気がしました。

 

そこで4日間連続でイソジン浴を行い、
並行してグリーンFゴールド顆粒での薬浴を続けました。

 

その後更に1週間、
グリーンFゴールド顆粒の薬浴を続けた所、
症状の進行がようやく止まったようです。

 

・・・ただ、これがイソジン浴の効果によるものか、
グリーンFゴールド顆粒の長期薬浴によるものかは不明です。

 

ヒレ溶けの進行が止まった事にはほっとしましたが、
薬浴治療が長期化した代償は非常に大きかったです。

カニハゼ 尾ぐされ病 症状

 

2つの背びれの欠損が特にひどい状態です。
ヒレだけではなく骨子までもが溶けてしまっていました ><

 

この病気の恐ろしい所は、
タンパク質分解酵素の働きによって患部が溶けてしまうということ。
その上、体の再生能力まで奪われてしまうようです。

 

今後順調に回復したとしても背びれの完全な再生は難しいと思われます。

 

また、治療終了の見極めも非常に難しいです。

 

ヒレ溶けは止まりましたが、
体表に取りついた細菌が完全にいなくなったかどうかは、
外見上だけでは判断が難しいと思う。

 

効能を得るために仕方がないこととは言え、
薬浴用の薬に色が入っている事も、
治療状態の見極めを難しくさせていると思います。

 

細菌としての感染力も強いそうなので、
完治したと思って水槽に戻したことで、
他の生体に飛び火してしまう可能性もありそうです。

 

今の所、餌は食べていますが、
背ヒレが欠損したことで泳ぎ方がおかしくなっています。

 

この状態では巣穴も満足に掘れないでしょうし、
水流が強い本水槽に戻すのは厳しいと判断し、
アクリルタンクに移して単独飼育で養生させる事にしました。

 

アクリルタンクで養生中のカニハゼ

 

アクリルタンクを急ピッチで仕上げていたのには、
こういう理由もあったんです。

 

事の発端となったヤドカリのレイコップを即席隔離ケースに収納し、
薬浴時にも使っていた土管を入れてから、
カニハゼのやすけんをアクリルタンクに入れました。

 

土管にはすんなり入ってくれましたが、
やはり水流に負けて上手に泳げない様子だったので、
水流ポンプの流量を下げておきました。

 

数日経過し、落ち着いてきたようで餌も食べています。
このまま様子を見守っていこうと思います。

 

今回の治療を振り返っての反省点など

 

すべては結果論のタラレバ話ではあるのですけど、
今回の治療を振り返って反省点を3つ挙げておきます。

 

1点目、

 

ヤドカリに襲われて背びれが傷ついてしまった時点で、
大事を取りグリーンFゴールド顆粒で数日薬浴をしておけばよかったかも。
この時点で傷口を消毒しておけば細菌感染を防げたかもしれません。

健康な魚なら多少のスレ傷程度は放っておいても大抵治りますし、
隔離治療は魚にストレスを与えますから、
治療のつもりが止めを刺す事もあるので判断は難しいところですが。

 

2点目、

 

隔離して薬浴治療をはじめる時に、
淡水浴を試さなかった事が悔やまれます。

ハゼの仲間は淡水浴に弱いと聞いたことがあったので、
大事を取ってやめておいたのですが、
淡水の尾ぐされ病には塩水浴が用いられるそうです。

海水の常在菌ということなら淡水浴も効き目があったかもしれません。
治療が長引いて体力が落ちてしまった今から試すのは厳しいです。
 

3点目、

 

今回の治療薬にはグリーンFゴールド顆粒を用いました。

海水の尾ぐされ病に効き目があった事例も報告されている様ですが、
進行が進んだ状態では少々効き目が薄かった感があります。

後々調べてみると昔から真鯛の養殖などの現場では、
尾ぐされ病の治療にニフルスチレン酸ナトリウムが用いられていたそうです。

 

ニフルスチレン酸ナトリウムが入っている魚病治療薬と言えばこれですかね。

 

 

エルバージュエース

 

強い薬の為、薬浴中に☆になってしまうケースも多いようですが、
ニフルスチレン酸ナトリウムが主成分。

 

大量の水で用いるのが基本の薬らしく、
隔離治療では規定量を測るのがかなり難しそうですが、
今回の症状ではこちらが正解だったかもしれません。

 

スレ傷が出来た時点で薬浴していればここまで悪化しなかったかもしれませんし、
治療の手順を間違えなかったらヒレ解けの被害はもっと少なかったかもしれません。

 

発症させないのが一番ですが、
もし次に尾ぐされ病の隔離治療を行う事があるのなら、
体力があるうちに淡水浴を行った後にエルバージュエースで短期の薬浴。

その後大事を取って、
グリーンFゴールド顆粒で1週間ほどの薬浴を試してみると思います。

 

※この治療法は私自身が実際に試したわけではないので効果の確約は出来ません。
強い薬の副作用で治療中に☆になるケースもあると思います。あしからず。

 

全てがタラレバ話ではありますが、
海水魚、特にカニハゼの尾ぐされ病治療に対する具体的な事例は少ないので、
右往左往しまって対処が遅れたのも事実です。

 

なので今回は、
私が行った治療に対する結果を全て記事に残しておく事にしました。

 

誰かがやって駄目だった方法なら、
同じ事を繰り返して時間を浪費する事はないと思うので。

 

尾ぐされ病は症状が進行してしまうと
手の施しようが無くなると聞きますが本当ですね。
早期治療で決着をつけないと後遺症も残りそうで厳しいです。

 

何の根拠も治療法に対する確約もできませんが、
一つの事例として多少なりとも参考になる部分があればと思います m(__)m

 

何とか回復して欲しいですが、状況はかなり厳しそう。

 

カニハゼのやすけんが持ち直してくれることを祈り、
引き続き様子を見守っていきます。

 

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10件のコメント

  • カブトムシ

    こんばんは~
    尾ぐされ病にかかってしまいましたか(T-T)イソジン浴はいいと思いますよ。傷に直接つけても効果あります(ただしエラに入ったら致命的)
    カニハゼのやすさん治るといいですね(о´∀`о)

    • まき

      カブトムシさん、こんばんは^^

      イソジン浴、初めて試したんですが、
      生体への負担は思ったよりは少なそうな感じでしたね。

      原液がエラに入ったら確かにやばそうですね。
      十分に攪拌してから入れるようにします。

      ありがとうございます^^

  • こんばんはです!

    あわわ…尾腐れですか;
    うちも淡水ですが、コリドラスが罹ってしまって塩水浴とエルバージュで治した記憶があります(´・ω・`)

    元々エルバージュはカクレちゃんの白点治療の為に買いましたが、
    後から外傷用の物だと分かって使い方を変えました。

    (この前のナンヨウちゃんの淡水浴時にも擦り傷の治療として使いました)

    なんとか回復してくれることを願うばかりですね(´・ω・`)
    頑張ってください!

    • まき

      めておさん、こんばんは^^

      海水ではあまり出る病気じゃないっぽいので油断してました。
      スレ傷からココまで悪化するとは思わなかったです。

      とりあえずエルバージュを購入しておきました。
      何とか体力が戻ってヒレが回復してくれればいいんですけど。

      ありがとうございます^^

  • まきさん、こんばんわ。

    やすけん君、痛々しい姿ですね。
    まきさんの水槽に入ったときからの記事を何度も見ているので、とっても心配です。
    回復に向かうことを心より祈っております。

    魚が不調になると、とっても心苦しいですよね。
    まきさんもお体気をつけてくださいね。

    • まき

      ひろさん、こんばんは^^

      餌付けから苦労してようやく慣れてくれた思い入れのある子なので
      ちょっと凹んでます。
      焦らずゆっくりと回復を見守っていこうとおもいます。
      ありがとうございます(T_T)

  • こんばんは!

    貴重な闘病記ありがとうございます!
    同じ飼育水を使っている以上、連鎖は避けられないですから、とにかく隔離、そして、付着、寄生している菌を死滅させないとですね・・・・

    で、まさかのイソジン・・・・
    効果ありそうですね〜

    薬浴系の薬を常備してないので、ソロソロ買っておこうかなぁ

    • まき

      ムコタマさん、こんばんは^^

      今回はアクリルタンクを立ち上げておいて良かったなぁと感じました。
      薬浴終わっても本水槽に戻せないケースもあるんですね。

      イソジンが全面的に効いたかどうかは分からなかったですが、
      5分ほどの薬浴なら思ったより負担は少なそうでしたよ。
      抗菌系の薬は1つは常備しておくとよいかもしれませんね^^

  • はじめまして、たーー坊と申します。
    大変、興味深いテーマなのでコメントさせていただきます。
    この種類の病気には、私も大変悩まされてきました。
    私の場合、ひれだけではなく、同じ滑走細菌による穴あき病で苦しむことが多いです。
    http://plaza.rakuten.co.jp/aquaboy/diary/201502160000/

    何かがきっかけで、たまに発症するのですが、治せがことがありません。
    エルバージュを使って、逆に死期を早めてしまったこともしばしばです。
    デリケートなカニハゼで、治療を成功させたのは、素晴らしいですね。
    早く、且つ、丁寧にやれば、治せる可能性があるというのは、とても励みになりました。
    これからもときどきお邪魔してもよろしいでしょうか?

    • まき

      たーー坊さん、はじめまして。
      コメントありがとうございます^^

      記事拝見させて頂きましたが穴あき病は恐ろしいですね。
      家とは少し症状が違うようですが細菌にも種類があるのでしょうか。

      エルバージュはまだ使っていませんが、
      取説を見て薬の濃度調整が難しそうだなって思いました。
      隔離治療で使う時には0.01g単位で調整が必要な気が。

      細菌性の病気って本当に怖いですよね。
      もう少し使いやすく効果が見込める薬があればよいのですけど。

      はい、もちろんです^^
      色々情報交換出来れば嬉しいです。
      ぜひまたお越しください。

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